【勤務医企画】女性医師の妊娠・出産・子育て後の職場復帰について|ドクターズアイ.com

キャリアの分かれ目となる妊娠・出産・子育て

photo of a pregnant woman in an office writing the words maternity leave in her diary.

現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、勤務医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。今回は女性医師の妊娠・出産・子育て後の復帰を題材にしたコラムです。女性にとって妊娠・出産・子育てという“子どものため時間”を経て、職場復帰を果たすことは容易なことではありません。それは当然ながら女性医師においても同様です。医師不足が叫ばれている医療界において、女性医師が長く働きやすい環境を整えることは課題の一つと言えるでしょう。

 

増加傾向が見られる女性医師の割合

近年、女性の社会進出に注目が集まっていますが、医療界においても同様の傾向が見られています。厚生労働省が2015年末に公表した医療従事者の届け出数によると、2014年末の段階で女性医師は医師全体の2割を超える6万3,504人にのぼりました。特に若年層の女性医師は増加しており、医学部入学者の約3分の1を女性が占める結果に。今後も女性医師が増加していく傾向にあることが予想されています。

慢性的な医師不足に悩まされている医療業界において、女性医師の活躍の場が広がることは大変喜ばしいことだと言えるでしょう。ただ、長期間にわたって現場で働き続けることが望まれている女性医師ですが、“女性ならではの理由”で休職や退職を選択する方も少なくありません。その最たる例が妊娠・出産・子育てです。結婚を経て妊娠・出産・子育てと“子どものための大切な時間”を過ごすため、職場においては休職・退職する必要が出てきます。

他の職種で働く女性たちと同様に、女性医師も妊娠・出産・子育てのために育児休暇を取得することができます。そして、もちろん子どもがある程度成長した段階で職場復帰を果たすことも可能です。ただ、医療界は肉体的にも精神的にもハードな仕事なため、育児休暇を取る前のフルスロットルな活躍を見込めない場合があります。どれだけ優秀な能力があったとしても、育児休暇のブランクや子ども最優先のライフスタイルへの変化によって、仕事のペースが落ちてしまうことはやむを得ないことなのです。

 

増加している女性医師の職場復帰を促す制度

高い専門性があり、なおかつテクノロジーの進歩が早い医療業界は、長期間のブランクを経て職場復帰を果たすことが特に難しい業界であると言えます。そこで重要になってくるのが、受け入れ側である医院側の女性医師の職場復帰を促す制度の整備です。その一つとして正規のスタッフのまま勤務時間を短縮する「短時間勤務制度」に注目が集まっています。

たとえばフレックスタイム制や当直勤務の免除など、小さなお子さんの世話をする時間を想定して拘束時間を減らすことを試みている医院が増えてきています。また、勤務中に安心してお子さんを預けられるように、院内に保育所を設置する医院も増加。女性医師が働きやすい環境を整えることが医院経営の安定につながるという考えが徐々に浸透しつつあります。

他にも全国の医療機関や自治体が行っている女性医師の「復職支援プログラム」もあります。復職を目指す女性医師のためのシンポジウムやセミナー、診療の感覚を取り戻すための「短期トレーニング」による研修、最新の医療情報を得られるように「e-ラーニング」での学習など、ラインナップも多種多彩です。そして、復職先の紹介も行ってくれるので、ご自身の希望に合った病院を選びやすくなっています。このように近年では、社会全体が女性医師の復職を幅広く支援していく流れができてきていると言えます。

 

ライフスタイルに合った職場で仕事復帰を

上述したように社会的にも女性医師の復帰を歓迎する風潮になってきているだけに、「なるべく支援制度が充実した医院で昔のようにバリバリ働きたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。ただ、育児が一段落して職場復帰を果たしたからといってまだ小さなお子さんは突発的な熱やケガなどの心配は絶えないだけに出産前と同様に本格的に働ける方はそんなに多くないはずです。時短勤務制度、院内保育所、ブランクを埋めるための研修システムなどが充実しているかは職場選びの際の重要なポイントとなります。

また、そうした制度を取り入れているだけでなく、制度に対する周囲の理解も求められます。仮に時短労働で復帰したとしても、忙しい周りの状況の中で自分一人が短い時間で帰れることに後ろめたさを感じるような職場は、ベストな環境とは言えません。そうした周囲との不協和音が生まれやすい環境だと、居場所を見いだせずに結局は辞めてしまうといったケースも多く見受けられます。

女性医師の割合の増加に伴い、少しずつ良くなりつつある復職支援の制度。ただ、まだまだ改善の余地があることは紛れもない事実です。医師として、そして母親として、仕事と育児をうまく両立できる職場で働けるのであればそれに越したことはありません。ただ、小さなお子様がいる中での就職活動は時間や行動に制約があり、「妥協して復帰先を選んだために再度就職活動をするはめに……」といった声も少なくありません。

そのため、ある程度時間をかけてでも、子育てが落ち着くまで安心して働ける職場を吟味することが不可欠です。理想の職場復帰を果たすためにも、まずはご自身が希望する条件を書き出してみましょう。そうすることで「子育てと仕事の両立がイメージしやすくなった」「復帰先の職場選びで譲れないポイントが見えた」など今後の働き方が明確になった方も大勢いるのです。