【勤務医企画】医師不足の医療界、勤務医は転職先に困らない?|ドクターズアイ.com
勤務医が転職先に困らないのは本当?
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、勤務医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。第1回は勤務医の転職を題材にしたコラムです。昨今では地域を問わず医師不足が叫ばれています。医師という職業は人々が暮らしていくうえで不可欠な存在であり、常に需要は尽きず引く手あまたな状況です。ただ、実際に医師が転職をする際に特に困ることはないのでしょうか。
医師不足は現在の医療業界の最大の問題
医療技術が目覚ましい勢いで進歩している昨今ですが、業界全体を通して目をそらすことのできない重要な課題に直面しています。それは医師不足です。以前は人口が少ない過疎地などに限定された問題でしたが、現在では多くの人が集う都市部もその傾向が見られます。特に小児科や産婦人科の勤務医に関しては深刻で、医師不足によって閉鎖に追い込まれた病院も実際に存在します。
世間では医師不足が問題視されていますが、実際に医師はどのくらい数を減らしているのでしょうか。
2年に1度行われる厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査によると平成26年の医師の総数は約31万1千人。実は平成24年の30万3千人よりも8千人も増えているのです。ただ、この数字で見逃せないポイントは医系技官や高齢で現役を退いた医師もカウントされていること。つまり、現場で臨床を行わなくても、医師免許を持っている人はこの総数に含まれているのです。
つまり、どの程度の数の医師が現役で活躍しているのかという実態を調べる術がないと言えます。そのため、統計上では医師が増え続けているにもかかわらず、現場では頭数が足りていないという何とも不可思議な現象が起きているのです。医師不足の問題の根は、想像以上に深いことがおわかりになるでしょう。
転職先には困らないが徹底的な吟味が必要
上記で説明した通り、総数は増えつつも実数が減少している医療業界。そのため、どの分野でも“猫の手も借りたい”深刻な医師不足に陥っています。ただ、雇われる医師側としては、就職に困らないという面ではメリットであるとも言えます。
多くの医院が人材を求めている時代なので、勤務医として働くとしたら、徹底的に転職先を吟味することが大切です。就職難であれば選択肢は限られますが、医師不足の現代であれば転職する際にはある程度個人の要望が尊重されることが予想されます。希望する待遇や立地などの条件をベースとして、次の職場を選定することができます。
ただ、気をつけておくべきことは、どの医院も医師不足であることです。激務を理由に転職を考えているのであれば、人手が足りていない医院に移っても忙しさはさほど変わらないかもしれません。働きながら転職活動に時間を割くことは難しいかもしれませんが、なるべく多くの情報を収集したうえで新たな職場を選択することをおすすめします。
勤務医は“医療技術を持つサラリーマン”
転職に関しては割と有利な立場にある医師ですが、勤務医として働き続けるとしたら、勤め先の医院の方針に従って働くことは当然のことです。医療という特殊な技能を持っていますが、“雇われている立場”という意味では一般のサラリーマンとあまり大差はありません。
つまり雇われ続ける限り、職場に対して何らかの不満や不安が一切なくなるということはないでしょう。これは一般企業の転職でも言われることですが、医師の転職においても職場(病院)と自身のマッチングは非常に大切な要素なのです。給与や手当などの報酬面だけに気を取られることなく、職場環境や人間関係などの面にも目を向けるようにしましょう。
医師は医師免許という一般人にはない特別なライセンスを持っています。それを転職の際に生かすも殺すも個人の自由です。ただ、勤務医として働き続けるのであれば、多くの医院の中からより自分にマッチする職場を選ぶことが重要となるでしょう。