開業医が車を選ぶ時の基準とは?~節税に効果的な車の条件~|ドクターズアイ.com
節税に効果的な車の選び方って?
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、開業医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。今回は開業医の車の選び方を題材にしたコラムです。
「いざ開業!」という時期にずっと憧れていた高級車を「経費で落ちるから買ってしまおう」と購入し、後々になって「効果的に税金対策できなかった…」という声も聞かれます。
開業を前にした医師が選ぶべき車はどんな車でしょうか?
せっかく経費で落ちるなら新車一択?
開業されている医師や企業の経営者に限らず、「車は経費で落とせる」という認識が世間一般に広まってきました。「せっかく経費で落とせるのであれば、新車を選ぶ」という方がほとんどではないでしょうか。開業して経営者になったと同時に「経費で落とせばいいから」という理由で、新車のメルセデス・ベンツやBMWなどの高級車を購入されるお医者様も多くいるようです。
しかし、減価償却の点から見ると、開業の際に新車を選択することは決して賢い選択とは言えないのです。なぜなら、新車(普通自動車)の耐用年数は6年とされているからです。簡単に言うと、例えば600万円の新車であれば、1年に100万円ずつ(※1定額法)又は1年目に200万円、2年目130万円、3年目90万円・・・6年目60万円(※2定率法)しか経費として計上することができないということです。600万円の車を購入したのに、1年間で100万円又は200万円しか経費にならないのはつらいですよね。
「経費として計上できているのだから、節税になっているのでは?」―そんな疑問が浮かんだ方もいらっしゃるかもしれません。確かに、新車を購入した場合も「経費として計上できる」という点では、節税に役立っているといえます。
しかし、もっと効果的な節税方法があるのです。
※1 定額法(毎年一定額)
※2 初年度、2年目の償却額が大きい
(※1※2は選択可能で※2は税務署に事前の届出が必要となります。)
開業医におすすめの車の選び方
それでは、どんな車の選び方をすればよいのでしょうか?
結論から申し上げると、以下の2点にあてはまる車がベストです。
・賢く節税ができる条件を満たした車
・いざという時にそれなりの値段で売却できる車
そこでおすすめなのが「中古車」の購入です。「せっかく買うのになぜわざわざ中古車を選ぶの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
あえて中古車を選ぶ理由は、新車と比べて、中古車の耐用年数は2~5年と短く、耐用年数2年(4年落ちした車)の場合の償却率は100%のため、実質1年で購入費用を経費として計上できる場合があるからです。
前章と同じように600万円の車で考えた場合、耐用年数2年中古車であれば、2年で300万円を(※1定額法)経費として、1年で600万円(※2定率法)として計上できるようになるのです。
1年で600万円を計上できる定率法の方が断然お得ですが、事前に税務署への届け出が必要になります。ご注意ください。
同じ600万円の車でも、新車を選択した場合と耐用年数2年の中古車を購入した場合を整理してみましょう。
【600万円の新車】
開業1年目 売上1億 利益4,000万円
初年度経費計上できる金額 100万円を1年目から定額(※1定額法)
又は1年目に200万円、2年目130万円、3年目90万円・・・6年目60万円(※2定率法)
【600万円の耐用年数2年(4年落ちした)中古車】
開業1年目 売上1億円 利益4,000万円
(72か月[6年]-48か月[4年])+48か月☓20%=33.6か月(2年9ヶ月)
1年未満は切り捨てとなるので、耐用年数は2年となる。
初年度経費計上できた金額 300万円を2年間(※1定額法)
又は600万円を1年間(※2定率法)
【注意】計算した結果がもし2年に満たない場合でも2年となる。
【注意】定率法を採用する場合は事前に税務署に届出が必要。
新車と中古車のどちらを選択するのが賢い決断かは明らかですね。開業する医師にとって初年度は何かと出費も多く、出ていくお金はなるべく抑えたいところ。賢く車を選びましょう。
参考資料として、経費として一括計上可能な諸経費を以下に記載いたします。ぜひ合わせてご参照ください。
◆以下の購入に関わる諸経費は一括して経費計上可能◆
1. 自動車税
2. 自動車取得税
3. 自動車重量税
4. 自賠責保険料
5. 登録費用(業者の代行費用含む)
6. 車庫証明費用(業者の代行費用含む)
7. リサイクル料金
また、経費だけではなく、車を手放す際の売却価値も考えてみましょう。新車の場合、大量生産されているような車種では6年後の売却時かなりの値崩れが予想されます。それは一般的な大量生産されている中古車でも同じことです。しかし、一方で値崩れが起こりにくい中古車も存在するのです。
それは、いわゆるビンテージカーやクラシックカーと呼ばれる高級車です。特に生産台数の少ない車種では、流通量が少ないため中古車であっても値段が安定し、値崩れが起こりにくいのです。
減価償却後、帳簿上の価値はほとんどなくなりますが、中古車の市場価格が安定していれば数百万円の(含み)資産が生まれるということです。
車を使った節税は賢く効果的に!
今回は車を使った節税の重要なポイントをご紹介しました。
・節税を考えるなら断然中古車がお得
・中古車を選ぶ際は4年落ち以上のものを(耐用年数2年以下)
・売却のことも考えて生産台数や流通量の比較的少ない中古車を
・中でも高級車のビンテージカーやクラシックカーはおすすめ
今回は、節税に効果的な車としてビンテージカーやクラシックカーをご紹介しました。
次回からは、人気のビンテージカーとともにその資産価値を紹介していきます。
実際の車の写真やトリビアも含めて紹介いたしますので、次回からの連載をお楽しみに!