アルバイトをしている医師が一度はぶつかる確定申告の壁|ドクターズアイ.com
アルバイトをしている医師が避けて通れない確定申告
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、勤務医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。第4回の今回はアルバイトをしている医師にとって重要な確定申告についてです。「勤務医のほとんどが経験しているアルバイトの実態とは」のコラムでもご紹介しましたが、日本の医療界では若手の勤務医の方のほとんどがアルバイト経験しています。医師がアルバイトを行う場合は個人で確定申告を行う必要性があり、それに戸惑う若手ドクターが少なくないようです。
複数の収入先がある場合は確定申告が必要
確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年間の所得、経費などをまとめて、翌年の2月16日~3月15日の間に国へ申告、納税をすることを言います。通常、勤務医であれば年収が2,000万円を越えなければ勤務している病院側で年末調整を行うため、本人は何もする必要はありません。しかし、他の医院でアルバイトをすることによって、複数の箇所から収入を得ている場合は、勤務先の給料額に関係なく、税務署で確定申告をしなければなりません。
確定申告は基本的に個人で行うため、必要な書類や源泉徴収票、経費となるもののレシートなどは必ず保管しておかなくければなりません。例えば経費となるもののレシートがなければ当然ながら、必要経費として計上することはできなくなります。それによって還付金が減る、もしくは自身で過少分を支払わなくてはならなくなるケースもあるため注意が必要です。
また、アルバイト先の源泉徴収票を提出しないと過少申告加算税などのペナルティが発生するリスクが生じます。アルバイトをすることによって、お金も手に入るうえに医師としての経験を積めるので一石二鳥ですが、確定申告をするためには個人で出入金の管理をしなくてはならないということを頭に入れておかなければなりません。
知っておきたい確定申告の手順
では実際に確定申告を行う際の手順についてご説明します。確定申告はその年の曜日の都合で多少のずれはありますが、基本的には2月16日~3月15日の1ヶ月が申告期間です。源泉徴収票、国民年金や国民健康保険の支払い証明書、生命保険や地震保険など、保険の払込証明書、通勤や研修などにかかった経費の領収書を持って税務署に提出します。方法としては郵送やe-Taxで電子申告することも可能です。e-Taxの場合、書類の提出は必要ありません。
次に重要な必要経費の分類についてご説明します。現在認められている必要経費は以下のようになっています。
7~9に関しては3つ合わせて年間65万円までと決まっています。これを超えてしまうと必要経費としては認められないので注意してください。また、65万円以内であっても適用を受けるには病院などの証明が必要となります。それぞれの「職務に必要」、「職務と関連」という条件は決して緩いものではないため、これも十分な注意が必要です。
仕組みを把握して賢い節税対策を
日本は累進課税のため、収入が増えれば増えるほど税率も高くなります。そのため節税の最大のポイントは所得税を抑えることにあります。そして所得税を減らす最も簡単な方法は控除額を増やすことです。ただし、基本的に控除額というと、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、住宅ローン控除、寄付金控除など若手医師には活用しづらいもの。そういった意味でも特定支出控除、つまり上述した必要経費の幅を上手く活用することは控除額の増大に大きく貢献します。
たとえば、アルバイトで他のクリニックなどに通う際の交通費や燃料費(ガソリン代)は通勤費にカテゴライズされ、学会や講演会への参加費用、会場までの交通費・国際学会などへの参加費用は研修費に該当します。このように日頃から必要経費がかかった際はしっかりとチェックし、後々にしっかりと申告できる準備をしておくだけで、税金対策を行えるのです。
確定申告は手間もかかるうえ、年間を通して個人で入出金の管理をしなくてはならないため、つい面倒になり後回しにしてしまう方も多いかもしれません。しかし、勤務先以外の病院でアルバイトをやる以上、確定申告をすることは国民の義務です。しかも、余分に支払った税金の還付金を受け取れたり、控除額を増やしたりすることで節税対策にもつながります。むしろ賢く節税対策をするためにも、しっかりと確定申告を行うようにしましょう。