開業医の経営者としての悩み~生き残るためのWeb戦略~|ドクターズアイ.com
“選ばれる医院”になるために不可欠なWeb戦略
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、“開業医の経営者としての悩み”についてのシリーズコラムをお届けします。以前に「歯科医院のためのWeb活用方法」に関してご紹介しましたが、今回はより範囲を広げ、開業医の経営におけるWeb戦略について掘り下げていきます。「質の高い医療を提供していれば、自ずと患者さんは集まる」といった考え方はすでに時代遅れとなりつつあります。情報過多の現代において選ばれる医院になるためには、精査された情報を提供しなければなりません。自院のサイトは情報コンテンツの充実、検索性の高さ、スマホ対応など患者さん視点に立ったWeb戦略を行えているでしょうか?
“質が高い医療で患者さんが集まる”と思ったら時代遅れ
「医療におけてもっとも重要なことは“診療の質”である」――そうした考えは至極当然のことですが、自らが持つ素晴らしい理念を広める手段としては何が最適でしょうか? インターネットが発展した現代においては、Web戦略が不可欠です。これまでは情報発信の手段をもたなかった小さな町医者でも、ホームページを持つことによって自院について容易に紹介できる時代になりました。
事実、メディア生命保険株式会社が2014年に行った「病院選び・医者選びに関する調査(※)」によると、病院選びにおいて39.8%の人が病院のホームページを参考にするという結果が出ています。これは家族や知人の評判(69.0%)、かかりつけの医者からの紹介(54.7%)という信憑性が高いと言われる口コミや紹介の次にホームページが判断材料になっていることを如実に表しています。
つまり、情報化社会においては医院の規模にかかわらず、ホームページが重要な鍵を握っているということです。「うちは質の高い医療を行っているから、宣伝などする必要がない」とお考えの場合は、すぐに改めたほうがいいでしょう。情報を自ら発信する時代において、自院の特色、理念、強みなどを積極的にアピールしていかなければ、どんなに質の高い医療をしていたとしても、多くの人に知ってもらうことができないのです。
※参照先:「病院選び・医者選びに関する調査」
http://news.medicarelife.com/release/down2.php?attach_id=7&seq=115&category=6&page=2
集患できるサイトは目に留まり、人が集まることが前提
上述したように、多くの方が病院選びの際にホームページを参考にしているという事実があるだけに、それぞれの医院には“ホームページにおける工夫”が求められます。患者さんの多くはさまざまなWebサイトを見比べたうえで通う医院を選定しているので、他院と比較された際に“選ばれるホームページ”でなければいけないのです。そのために、まずはページを見てくれた方の目に留まることが大切であり、その点においてはデザインがかなり重要だと言えるでしょう。
ホームページのデザインを構成するうえで、ベースになるのが色です。ほとんどの医院にはイメージカラーが存在するはずなので、そうしたイメージをホームページにも反映するといいでしょう。ベースとなる色がわからないというケースでは、「爽やかさ」「冷静さ」「誠実さ」などのイメージを持つ“青を基調としたデザイン”を選択することをおすすめします。また、小児科がメインの医院などでは、オレンジや黄色など温かみのある色を採用しているケースもあります。色が与える印象は以下の通りです。
色の印象だけに着目しても、患者さんに与えるイメージはこれだけ異なります。それだけに、自院のイメージと合わせて戦略的にホームページを作り込むことが大切です。デザインにおける医院のカラーを選定したら、同じ地域の医院サイトを確認し、イメージが似ているサイトがないかをチェックしましょう。サイトイメージが被ってしまうと他院と間違えられてしまう可能性があり、それは機会損失です。そのため、アイコンやロゴマークなどを作ることで医院独自の印象を与えることができるエッセンスをホームページに組み込む必要があります。デザインにおいて差別化を図れれば、患者さんの目に留まりやすくなります。
患者視点に立ったWebサイト制作の必要性
患者さんに感心してもらえるような素敵なデザインのサイトであることも重要ですが、それと同様に“使いやすいホームページ”であることも大切です。2015年10月、検索大手のGoogleは同年5月に米国、日本を含む10ヶ国でモバイル機器での検索が初めてPCを上回ったと発表しています。そして、Googleはここ1年で、モバイル検索の際にスマホに最適化されたサイトを優先的に上位に表示させる仕組みを採用しました。つまり、スマホユーザーの増加に伴い、スマホへの最適化がなされているかが検索におけるキーになってくるということです。
スマホで病院を探している患者さんは、「今すぐに病院に行きたい」というケースがほとんどではないでしょうか? そんな緊急性があるシチュエーションで「見づらい」「使いづらい」というページが表示され、さらにPC版のページのみのサイトでは、すぐに患者さんも離脱してしまうでしょう。診療時間、休診日はファーストビューに表示し、地図のリンクを貼ることも必須です。またタップするだけですぐに電話を掛けられるリンクを設置するなどユーザビリティを最優先したデザインを心がけてください。
使いやすさの面をクリアしたら、次は情報コンテンツの充実に目を向けましょう。情報量が多いと患者さんにとって判断材料が多くなります。患者さんの声やQ&Aなども用意することで診療のイメージがつきやすくなり、親しみを持ってもらいやすくなるでしょう。
自院のホームページは、常に患者さんに他の医院のサイトと比較されています。そのことを肝に銘じながら、「自分が患者さんだったらどんなサイトが見やすいか」を意識し、ユーザビリティの高いホームページを作ることを心がけましょう。それこそが“選ばれる医院”になるためのWeb戦略なのです。