勤務医が日頃から実践しているストレス解消法とはドクターズアイ.com

 

多くの勤務医がストレスを感じているのが現状

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現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、勤務医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。第6回の今回は勤務医のストレス解消を題材としたコラムです。医師は人の健康、そして命に関わるなど大きな責任を伴う職業です。それだけに仕事におけるストレスは他の職業とは比にならないかもしれません。自身の体調の悪化を防ぐためにも、ストレスを意識的に解消することが重要です。では現場で働く勤務医は実際にどのようなストレス解消法を実践しているのでしょうか?

 

ストレスは当たり前?医師の現状とは

勤務医労働実態調査2012実行委員会が2012年6~9月にかけて行った「勤務医実態調査2012」によると、「精神的ストレスを感じることが多い」「強いストレスがある」と答えた医師は67%、さらに「精神的ストレスで治療中」でありながら勤務している方が4%という結果になりました。「ストレスをあまり感じない」という回答が29%あるものの、「ストレスがない」と回答した方はなんと0%。程度にもよりますが、勤務医には“ストレスがつきもの”であることがわかります。

また、2008年6月に行われた勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会の調査では、全医師の8.7%が抑うつ状態であり、特に20代は12%と他の年代より高い数値がでています。これらのデータは、働き盛りであり今後の医療界を担うべき若い世代の勤務医が強いストレス状況下の中で働いているという現状を意味するものです。

人々の健康をサポートし、命を救うという重要な役割を担う医師ですが、強いストレスにさらされながら仕事をしていたら、本人たちの寿命が縮まってしまいます。ただでさえ医師不足で多忙を強いられているだけに、ストレスフルの仕事環境が続くと、日本の医療業界に明るい未来を描くことはできないでしょう。国民の健康を維持するためにも、まずは医師の心身の健康を維持するための取り組みを行うことが急務なのです。

 

医師のストレスの主な原因となっているものは

多くの医師がストレスを抱えているというあまり芳しくない状況の医療業界ですが、その主な原因となっているものは何なのでしょうか。勤務医が抱えるストレスの原因は、忙しさによる睡眠不足や運動不足だと言われています。職業柄、多忙を極めるため、身体や心を落ち着かせる機会が極端に少ないことが根本的な原因となっているようです。医師不足という根深い問題があるだけに、この問題を一朝一夕に解決できる可能性は低いと言えるでしょう。

また、忙しさから同僚や先輩医師とコミュニケーションを取る時間もないことが、ストレスフルな環境に拍車をかけています。仕事で躓いたり、困ったりした際でも悩みを打ち明けられる存在がおらず、一人で抱え込んでしまう若手勤務医も多いそうです。ただでさえストレスが多い状況下で、そのはけ口すらも見出せないとしたら、潰れてしまうのも至極当然と言えるでしょう。

また、最近ではチーム医療によって、医師だけではなく、看護師、栄養士、薬剤師など異なる職種でチームを組むことによる人間関係の複雑化も状況をさらに難しくしています。これまでの医師の役割以外にも、チームを統率するためのリーダーシップを発揮しなければならないだけに、時にそれが重荷にもなるようです。その他にもモンスターペイシェント( 病院内部に属する勤務医の事情~モンスターペイシェントの急増~が存在するなど、患者さんとの関係がうまくいかない場合なども医師の精神に大きなダメージを与えることになります。

 

医師が元気に働くためのストレス解消法

上記でご紹介してきたように、医師という仕事は過酷なストレス環境に耐えうるだけのタフネスさが要求されます。医師が元気に健康に働くためには、ストレスをいかに解消し、溜め込まないようにすることが重要となります。ただ、そうした理想を実現するためには、医師自身がどのようなことに気を配るべきなのでしょうか。2009年2月に日本医師会が勤務医に実施したアンケート調査を元に作成した「医師が元気に働くための7カ条」を一つの指標としてご紹介します。

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上記の7カ条を改めて確認すると、いわば人間として“当たり前”の内容が並んでいるようにも思えます。ただ、この内容が実践できていないがゆえに多くのストレスを抱え込んでしまっているというのが現状なのです。ストレスを抱えたまま仕事を続けることによって、うつや体調の悪化により長期休養を余儀なくされる可能性は非常に高くなります。それだけに、自分自身にブレーキをかける意味でも、上記の7カ条を実践するようにしましょう。

7つすべてをクリアできることに越したことはありませんが、医師の現状から判断するにそれは厳しいと言わざるを得ません。ただ、できることからまず1つチャレンジするだけでも、ストレスの度合いは幾分か楽になるはずです。医師であるがゆえに「自分の身体のことは自分が一番よくわかっている」という方もいるかもしれませんが、無理は本当に禁物です。自身が倒れることによって、他の医師の方にも迷惑がかかってしまうという状況を肝に銘じ、ストレスを溜め込まないように常日頃から、“患者さんだけでなく自分も大切にすること”を心がけましょう。