医師におすすめする運動不足解消のためのフィットネス|ドクターズアイ.com
医師の仕事はどうしても運動不足になりがち
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、開業医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。第6回は運動不足の医師に対するフィットネスの紹介です。基本的にイスに座っていることが多く、移動が少ない医師という職業はどうしても運動不足になりがち。特に自宅やその近辺で開業している医師は、行動エリアも狭く、意識して運動をしないと慢性的な運動不足に陥ってしまいます。運動不足が深刻化すると健康も危ぶまれてくるだけに、簡単にできる運動を今からでも始めることをおすすめします。
医師が運動不足に陥る原因とは?
「医者の不養生」とは昔からある言葉ですが、医師が不健康であるという実情は、現代においてもあまり変わっていないようです。日経メディカルOnline(http://medical.nikkeibp.co.jp/)が2286人を対象に2014年に行った医師の健康に関するアンケートによると、3分の2以上の67.6%の医師が何らかの持病を持っていると回答しました。人の健康をサポートすることが役目のはずの医師が、逆に自身の健康状態について不安を抱えているという現実は皮肉なものです。
持病の中には、高血圧、脂質異常症、腰痛・関節痛など運動によってある程度、症状が改善できるものも少なくありません。しかし、長時間座って患者さんを診断するのが基本という開業医の職業柄、運動不足に陥りがちになってしまいます。特に開業医は自宅に医院が併設されていたり、家の近所に医院を構えていたりするケースも多く、移動や運動とはほど遠い生活を送っている方も少なくありません。自らが進んで運動しようと思わない限りは、運動不足の解消は非常に困難だと言えるでしょう。
そうした日々を過ごしていると、だんだん気持ちも身体も運動から遠ざかるようになりがちです。診療続きで1日中、座ったままで動かなかったという日も中には出てくるでしょう。そういう環境に慣れてしまうと、尚更身体を動かすことが億劫になってきます。患者さんには運動の大切さを説いておきながら、自身は悪循環にどっぷりとはまってしまい、“運動不足という負のスパイラル”から抜け出せなくなってしまうのが現状なのではないでしょうか。
すぐにできる運動は「歩くこと」「ストレッチ」
仕事中にはほとんど身体を動かすことがない医師という職業。勤務において運動の要素がないのであれば、休日など仕事以外の時間で運動をするしか選択肢はありません。しかし、運動習慣が身についていないと、何から始めたらいいかわからず、もたもたしているうちに結局何もせずに1日が終わってしまうといったケースも少なくないでしょう。そんな運動不足にお悩みの医師の方に対しておすすめしたいのが、とにかく「歩くこと」です。歩くことには、以下のように5つの効果があると言われています。
上記のように歩くことは、人間の機能を活性化させる基本の運動だと言えます。急に何かスポーツをするのは難しいかもしれませんが、歩くことを意識づける程度ならばさほど難しいことではありません。通勤の際も自宅を10分早く出て少しだけ遠回りすれば、それだけでも往復で20分ほど多く歩くことができます。これだけでも毎日続ければ十分、運動不足の解消につながります。いきなり休日に2時間ウォーキングをしようとすると、続かないことが多いので、それよりは毎朝10分早く自宅を出て多めに歩く方がずっと効果的です。
またこれに加え、仕事中でも少し時間が空いた時などに座ったままで左右の肩甲骨を寄せる、両足を床から10cmぐらい上げその姿勢を保つ、机に手を置いて腰を両方にひねるといった簡単なストレッチを行うようにしましょう。ストレス解消やリフレッシュ効果もありおすすめです。このように歩くことやストレッチをすることは負担の多い運動をしなくても、日々の習慣を少し変えるだけで実践できます。まずは自分が始められることから、無理せずチャレンジしてみることが大切です。
おすすめはセロトニンを活性化させる運動
運動不足というと健康面ばかり気にされる方が多いですが、影響があるのはフィジカル的なことだけには留まりません。実は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが欠乏する要因にも、運動不足が上げられています。セロトニンは人間の精神面に大きな影響を与え、心身の安定や心の安らぎなどにも関与しています。そのため、欠乏するとネガティブになったり、不眠症に陥ったりといった鬱に似た症状が起き、心の健康を害する恐れがあるのです。
このセロトニン欠乏と運動不足を同時に解消できるのはやはり、歩くこと。そして、移動の手段でもある自転車もおすすめです。基本的には太陽の光を浴びながらゆっくりと簡単な動きを繰り返す運動がセロトニンの活性化には一番効果的です。通勤時のウォーキングに慣れてきたら、今度は朝30分早く起き、太陽の光を浴びながらなるべく人通りのない道をゆっくり歩くようにしてみましょう。それだけで日々における爽快感が変わってくるはずです。
運動不足が指摘される医師ですが、だからと言ってその解消には激しい運動は必要ありません。それよりもゆっくりと自分のペースでできることを毎日続ける方がずっと効果的です。特に運動不足解消とセロトニン活性化という2つの効果が期待できるウォーキングはすぐに始めてみましょう。家をたった10分早く出て、歩くことを心がけるだけでも心と身体の両面の健康維持において絶大なる効果があることを実感できるはずです。