“勤務医・開業医以外の医師”としての働き方とは?|ドクターズアイ.com
同じ医師という肩書きでも幅広くある職種
現役医師の皆様のお役に立つ情報を提供する「ドクターズアイ.com」が、勤務医に関連したトピックスをコラム形式でお届けします。病院勤めで激務の勤務医、そして個人経営の大変さを日々痛感する開業医。医師としてどちらの道を選んだとしても決して楽ではありません。ただ、医師という冠がつくのは勤務医と開業医だけではなく、医系技官、研究医、製薬会社勤務医(メディカルドクター)、保険会社査定医など、実は多様性に富んだ働き方があります。もしかしたら、ご自身でもまだ気づいていない医師としての最適な働き方があるかもしれません。
病院以外の勤務も意外と多い医師という職業
厚生労働省が2年に1回実施している「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」の2014年度版によると、2014年12月31日現在での全国の届出「医師数」は311,205人にのぼります。そして、この中で臨床医なども含んだ医療施設(病院勤務あるいは自身で経営している医院)従事者は296,845人と全体の95.4%という結果が出ています。つまり日本に在籍する医師のほとんどが病院に勤務しているということです。
上記の結果は「医師の職場=病院」という世間一般のイメージと違わぬ結果が出ていますが、逆説的に考えると全国で14,360人もの医師が病院以外に勤務しているとも言えます。この中には介護老人保健施設の従事者なども含まれますが、それ以外にも冒頭で触れた医系技官、研究医、製薬会社勤務医(メディカルドクター)、保険会社査定医など多彩な働き方があるのです。近年、医療を求める方のニーズの多様化に伴い、病院や診療所以外にも人の健康や命に関するサービスを提供する場所が増えてきています。それだけに病院勤務(経営)といった働き方以外にも医師として生きる道の選択肢が広がっているのです。
キャリアアップや開業などの目的があれば、次のステージに向けての動きは明確ですが、自身の健康面での不安や家庭の都合で当直ができないなどの事情で転職を希望する場合は、“環境を重点項目に置いて”次に働く職場を探すことになるかもしれません。そういうケースにおいて、必ずしも病院勤務だけが医師の働き口ではないことをあらかじめ頭に入れておけば、自身の今後の方向性を決めるうえでも選択肢を広げられるのではないでしょうか。
医師としてどんな働き方があるのかをリストで確認
医師としての知識・技術・経験・ノウハウを駆使して働ける、活躍の場は実際にどのくらいあるのでしょうか。具体的に医師が病院勤務以外でどういった働き方があるのかについてご紹介します。尚、基本的に非常勤のみとなる職種(学校医や防衛医官)などは除いています。
上記がすべてではありませんが、病院で働く勤務医や開業医以外にもこれだけの選択肢があります。もし現在の病院からの転職を検討している場合は、病院以外の職場を検討してみるのも一つの手かもしれません。医師の仕事は職場環境が変わることで、医療従事者ばかりの病院では見いだせなかった価値を生み、存在感を発揮できる可能性もあります。医師という職業でも働き方の多様性が豊富であることを意識して転職先を探してみると、視野が広がるかもしれません。
医師が自身の行く末を自己決定する時代に
上述したように、医師には病院という医療従事施設以外にもさまざまな働き方があります。日本はこれから世界のどこも体験したことがない超高齢化社会へと進んでいくでしょう。そうした時代背景があるからこそ、今まではなかった医師としての活躍の場が今後も新しく増える可能性も十分にあります。
高齢化社会とともに核家族化が進むにつれ、多くの日本人がこれまでの働き方を見直さざるを得ない状況に陥っています。これは一般の会社員だけでなく医師も同様であり、結婚し子どもができたとしても、共働きでどうしても勤務時間の融通を利かせる必要がある場面も出てくるでしょう。そうした際に自分のライフプランに合った働き方ができるのであれば、より生活も充実させることもできるはずです。
「実力主義にシフトしつつある医療界の今」でも触れたように、医師という職業においてもただ医局によって敷かれたレールに乗るのではなく、実力で自ら道を切り拓いていくことが当たり前になりつつあります。そういう時代だからこそ、家族やプライベートを優先して働きながらも、自身の知識・技術・経験・ノウハウを十分に生かせる職場環境を選択するのも医師としての成功の道です。病院内の常識にとらわれることなく、柔軟な考え方で医療に従事していくことが今後の医師としてのスタンダードになるのではないでしょうか。