自己投資力が高いのは本当?~看護師のお財布事情~|ドクターズアイ.com

看護師の自己投資力が高いという噂は本当?

一般の職種に比べて給与水準が高く、なおかつ平日休みの人と予定が合いにくい看護師のお仕事。そのため、看護師は同年代の他の職業の人よりも貯蓄が多い傾向にあり、自身への投資ができる余裕があると思われがちです。そうした世間一般のイメージと看護師の実情は実際のところではマッチしているのでしょうか。看護師の給与事情や消費傾向を分析しつつ、お財布事情に迫ってみました。

 

気になる看護師の給与水準レベルとは

厚生労働省が行った2012年の賃金構造基本統計調査によると、看護師の男女の割合は男性が7.9%で、女性が92.1%を占めるそうです。男女平等参画社会や女性の活躍などが叫ばれて久しいですが、現在でもなお女性主体の職業であることは間違いありません。では他の職業で働く女性と女性がほとんどの看護師の給与水準にはどのくらい差があるのでしょうか。事院が公開した「27年度民間給与の実態」によると看護師の2015年4月分の平均支給額給与は、以下の通りです。

上記の金額には、時間外手当や通勤手当も含まれているため、病院によって夜勤や残業、休日出勤の程度によっても変わってきます。また、一般的に個人病院よりも大学病院の給与水準が高い傾向にあり、勤務地、勤務先によっては上記の金額と差があるケースもありますが、高い給与水準にあると言えます。これに対し、厚生労働省が公開している「2015年賃金構造基本統計調査」によると大学、大学院卒(女性)の平均給与は、以下の通りです。

調査方法やボーナス、時間外手当などを含む、含まないなどの違いがあるため、この数字だけで一概に判断はできませんが、それを加味してもいずれの年代でも看護師の給与が一般の職業の平均を上回っていることがわかります。仕事内容が給与に見合っているかはさておき、金額だけで比較すれば看護師は一般の女性が活躍している職業よりも待遇がいいと言えます。

 

休みが合わず一人で過ごす時間が多いのも特徴

一般的な職種に比べ給与水準が高い看護師は、自由に使えるお金も他の職業の人よりも多い傾向にあります。特に家庭をまだ持っていない20~30代の独身の方であれば、貯蓄したり、自己投資したりすることにお金をかけられます。ただ、他の職種であれば学生時代からの友人や仕事先の同僚と土日などの休みに食事や遊びに出かけるケースも多いのですが、看護師の場合は予定を合わせるだけでも一苦労のようです。

看護師という職種の休日は、必ずしも一般的な職種のようにカレンダー通りにはいきません。特に夜勤のある病棟や介護施設では、2~3交代制で勤務をすることが多く、曜日ではなくシフト制で休日が決まります。個人病院などでは日曜日が休日のところも多いですが、土日連休というケースは稀のため、友人同士で土日に旅行するということは難しくなります。

このように一般的な職種の友人はもちろん、同僚であってもシフト制などで毎回休みが被るということがないため、休日を一人で過ごす看護師は少なくないというのが現状です。そのため、お金の使い道に迷う方も多く見受けられます。多くの看護師は自己投資や貯蓄などにお金を使いますが、賢い方だと不動産投資をして、将来のためにお金を積み立てている人もいるようです。

 

一般女性より自分磨きにお金をかける傾向に

株式会社メディカ出版が2016年10月に発表したナースのお金と情報に関する意識調査と、博報堂生活総合研究所が発表した「生活定点2014」の一般消費者の消費行動との比較をしたところ、看護師は「普段の食事」が一般消費者の約1.5倍、「美容」が1.7倍、そして「自分のための教養・勉強」に至っては3倍以上のお金をかけているという結果が出ています。

看護師は一日の大半が立って仕事をしているか移動しているため、デスクワークに比べ体力の消耗が激しい傾向にあります。そして夜勤などがあると生活が不規則になり外食が増えてしまうことにより、どうしても食事や美容にかけるお金は一般の職種に比べ高くなりがちなのです。平日の休みに混んでいない美容室やエステに通えるという点は、OLにはないメリットと言えるでしょう。

また、看護師という職業を選んだ方は、医療で人を助けたいという想いが強く、そもそも向上心が高く勉強熱心であるケースが多く見受けられます。そのため、給与と休日の時間を無駄遣いすることなく、日々進歩する医療技術についていくために勉強に使う傾向があるようです。このように給与水準が高い傾向にある看護師は、美容・食事・教養など各方面の”自分磨き“にお金をかけていることがわかります。大変な職業なだけに自分へのご褒美とも言える投資を忘れないことも、仕事を長く続けられる秘訣なのかもしれません。